本書の目的 | ローマ人たちに対するパウロの自己紹介と、自らローマに出向く前にあらかじめメッセージを一部伝えておくため。 |
著者 | 使徒パウロ |
誰に向けて書かれたか | ローマに住むクリスチャンたち、イエスを信じるすべての人 |
年代 | 西暦57年、コリント(ギリシャ)にて |
背景 | パウロはまずエルサレムに住む貧しいクリスチャンたちのために集めた寄付金を渡しにエルサレムに行った後で、ローマに立ち寄りスペインへ行く予定だったようです。(ローマ15章23-28節) |
主要な聖句 | 「そういうわけで、私たちは、神様の契約を信じる信仰によって、神の目から見て正しい者とされているのですから、今や神様との間に真の平和を得ています。それは、私たちの主イエス・キリストのおかげです。」(ローマ5章1節) |
主要な登場人物 | パウロ、フィベ |
主要な地名 | ローマ |
本書の特徴 | パウロはこのローマ人への手紙を典型的な手紙の様式にしたがって書かず、本人の信仰を表した声明文として注意深く体系づけて書き上げました。 |
パウロはローマに住むクリスチャンたちに宛てた手紙の中で救いについての良い知らせ(福音)を、はっきりと大胆に、まるで雄弁な弁護士のように示しました。
パウロがこの手紙を書いた当時はまだ実際に会ったことはなかったのですが、パウロは彼らを愛しており、ぜひ会いたいと切に望んでいました。この手紙は彼らに自分を紹介するため、そして罪や救い、イエス・キリストにあってクリスチャンが得られる自由などの定義を明確にするために書いたものです。またこの手紙では、私たちは人間で生まれつき罪深い生き物であるので、神様がイエスを通して寛大にも与えてくださった救いを必要としているのだという事実をはっきりさせています。
どんな人であろうと、過去の悪い行いや罪、家族の生い立ちがどんなものであろうと、救いとはすべての人のためであるとパウロは説明しました。私たちは皆神様の恵みにより救われます。この恵みは私たちの努力によって得られるものでもなく、私たちが当然いただけるべきものでもありません。誰でも自分が罪深く、神の恵みが必要だと認めたなら、イエス・キリストともに永遠に過ごせるように永遠のいのちを神様が与えてくださると信じることによっていただくことができます。イエスの力とお赦しを通して私たちは神様に赦して受け入れていただき、神様に「罪のない者」と宣言していただけるのです。
しかし、神様のご計画は私たちが赦されて救いの贈り物を受け入れた時点で完結するわけではありません。神様は私たち一人一人と個人的な関係をお持ちになりたいと思っておられます。そして私たちが神様とこのつながりを持つと、神様ははかり知れないほどの自由と解放を約束してくださいます。パウロはわたしたちが罪深い習慣から解き放たれ、旧約聖書に書かれている神のおきてに縛られることなく解放されて、私たちもイエスのようになっていき神様の無限の慈愛を見出す自由が与えられると書いてあります。
続いて、パウロは自分の同胞であるユダヤ人たちにも気づかい、ユダヤ人が神のご計画にどのように当てはまるかについても説明しました。すべての人が神の知恵と慈愛について神をほめたたえることができるように、神はユダヤ人とユダヤ教徒ではない外国人とが一つに結束する道を開かれました。
そして、パウロは福音を受け入れてからイエスのために生きることはどういう意味かを説明しています。神様からいただいた技能や才能をもちいて、まわりの人に仕え、誠実に人を愛し、責任ある市民として生きましょう。自由は与えられているのですが、その自由の使い道は互いに助け合い、互いの成長を助長し合い、弱い者に対して敏感になり、助けてあげることにより、愛に導かれた行動とならなければなりません。
ローマ人への手紙を読みながらあなたもイエスとの関係をよく考えて見ましょう。そして、ほかのクリスチャンとの友情関係を築き、まわりの人たちにイエスの救いが必要であることをわかってもらう手助けとなろうと決意しましょう。