本書の目的 | 若き指導者のテモテを励まし、指示を与えるため。 |
著者 | 使徒パウロ |
誰に向けて書かれたか | テモテ、教会の若き指導者たち、あらゆるクリスチャン |
年代 | 西暦64年ごろ、ローマかマケドニヤ(マケドニア)(もしくはピリピ)で |
背景 | エペソの教会で偽りの教えがはびこり始めた時、パウロはそれらの誤りを正すためにテモテを送りました。その仕事を実際にどう遂行すべきかのアドバイスをまとめたのがこの手紙です。 |
主要な聖句 | 「年が若いからといって、軽く見られてはいけません。かえって人々の模範になりなさい。あなたが、ことばと実践によって教えていることを、人々にも実行させなさい。
愛、信仰、きよらかな思いの、良い模範を示しなさい。」(第一テモテ4章12節) |
主要な登場人物 | パウロ、テモテ |
主要な地名 | エペソ |
本書の特徴 | テモテへの第一の手紙は教会の運営方法や規律に関する個人的な手紙であり、ハンドブックでもあります。 |
使徒パウロは、自分の徒弟でありエペソの教会の牧師であるテモテを励ますために、この非常に個人的な手紙を書きました。まだ青年で牧師という立場ですから、教会からも社会全般からもさまざまなプレッシャーや論争、難問を投げかけられて苦労していました。
パウロはこの手紙の中でテモテへの賢い助言を書き始め、模範的なクリスチャンのあるべき姿を自ら示し続けました。パウロは自らの生涯をテモテに投資することによって一人の青年を育てるだけではなく、その後の何世代にも続くようにしっかりとした土台を築いているのです。また、牧師や執事と呼ばれる教会の指導者となるための資格などについても説明しました。
パウロはこの手紙でも偽教師という当時も続いていた問題にふれ、そのような人の見分け方と反論の仕方をテモテに教えます。また、牧師として若者や老人、未亡人、牧師、奴隷などにそれぞれ実際にどのような助言をすべきかを教え、動機を清く保ち、信仰をしっかり守り、誰からも非難されるところのない者になり、教会の世話をするようにと言って結びます。
テモテへの第一の手紙には多くの教訓が含まれています。子供の人生に最大の影響を及ぼすのはしばしば親や教師であるということは実証されています。テモテも信仰深い親せきや教師、その中でも師と仰いだパウロなどの影響を深く受けた一人でした。テモテの母と祖母(第二テモテに登場します)はユダヤ人のクリスチャンであり、テモテの人生観と霊的な成長を方向づけるのを助けました。
あなたもまだ信仰に入ってまもないならば、テモテがパウロの人生にならったように、あなたも敬虔なクリスチャンの指導者を手本としましょう。子供をお持ちのあなたなら、クリスチャン的な家族の環境が家族全員に大きく影響を与えることをおぼえておきましょう。また、あなた自身が誰かの手本となる立場にあるならば、あなたの動機や発言、ライフスタイルがすべて、あなたを見習っている人たちに永続的に影響をおよぼす事実を心得ておきましょう。信心深いクリスチャンの母と祖母に恵まれた若きテモテは彼女たちの影響を受け、クリスチャンとしての人生の手本を示したパウロによりテモテは完全な弟子となりました。そして、テモテの働きは最終的には世界を変えていく過程に役立ったのです。