本書の目的 | テサロニケに住むクリスチャンたちの信仰を強め、キリストが帰って来られると確約するため。 |
著者 | 使途パウロ |
誰に向けて書かれたか | テサロニケ(ギリシャの古代都市)に住むクリスチャンたち、あらゆるクリスチャン |
年代 | 西暦51年ごろ、コリントで |
背景 | パウロの徒弟テモテはパウロにテサロニケの教会について良い内容の報告をしたのですが、この教会はまだ未熟であり、迫害に苦しみながらも信仰において成熟するのに苦心していました。パウロは彼らが今後も成長するよう励まし、キリストが帰ってこられるかどうかについて彼らが抱いていた誤った見解を正すためにこの手紙を書きました。 |
主要な聖句 | 「私たちは、イエス様の死後の復活を、確かなことと信じています。ですから、イエス様が死んで世を去ったすべてのクリスチャンを、神様が共に連れ戻してくださると信じてよいのです。」(第一テサロニケ4章14節) |
主要な登場人物 | パウロ、テモテ、シルワノ |
主要な地名 | テサロニケ |
一世紀のクリスチャンたちは頻繁に迫害や場合によっては死にさえ直面していました。彼らは、イエスご自身と、イエスと関わりがある人をすべて軽べつし、たいへん嫌っていた人たちに殺されてしまうこともありました。イエスを拒絶したユダヤ教の宗教指導者や残酷なローマの役人たちの手にかかった当時のクリスチャンは、むち打ちの刑や服役、石打ちや十字架による死刑などといったきびしい迫害にあうことさえありました。キリストの従者になるということはすべてをささげなければならないことを意味していたのです。
パウロはテサロニケの教会を創始し、それからまもなくこの手紙を書いてまだクリスチャンになったばかりの彼らに愛を伝え、状況がきびしい中でも忠誠心を持ち続ける彼らをたたえました。「主から直接聞いたとおりを伝える」とパウロは言って、救い主のイエス・キリストがある日帰ってこられ、私たちクリスチャンたちを天国へ連れて帰られるのだから希望を捨てないように励ました。
パウロは本書の始めで、テサロニケのクリスチャンたちの強い信仰と良い評判について神への感謝の言葉を述べます。続いてこの手紙の要点を伝えます。それは、励ましと慰めの言葉です。性的な不道徳を避け、互いに愛し合い、罪にあふれた社会において良き市民として生活を送ることによって神を喜ばせるようにとさとします。
また、希望にすがり続けるようにと言ってテサロニケのクリスチャンたちを慰めます。イエスが死からよみがえられたこと、そしてそのおかげで求めさえすれば誰でも救いが与えられるようになった事実を思い起こさせます。続いて、イエスはすべてのクリスチャンを迎えるために再び来られると約束されたのであり、いつなんどきに帰って来られるかわからないのですから、その日にそなえておくようにと告げました。キリストが再び来られる時、生きているクリスチャンもすでに死んだクリスチャンも天国に連れて行かれるのです。
イエス様が帰って来られた時に準備ができているようにするには何が必要かを説明するためにパウロはなまけ者にはきびしく注意し、臆病な人を励まし、弱い人を思いやり、誰に対しても忍耐し、どんな人にも常に善意を示すよう心がけ、いつも喜びにあふれているようにし、いつも祈りに励み、万事よく調べてそれが本当に良いものかを確かめ、あらゆる種類の悪から遠ざかるようにと指示しました。
この手紙を読みながら、その中でパウロが伝えたクリスチャンとして生活する上で実用的なアドバイスを注意深く聞き入れましょう。悲しんでいる時は、イエス様が帰って来られてすべてのクリスチャンを永遠に天国に連れて行ってくださるという事実を知り、希望を抱きましょう!死んでもそこで人生は終わってしまうわけではないのです!イエス・キリストは死を克服されたので、イエス様を信じることによって永遠に続くいのちと希望がいただけるのです。